犬のこと

 

一昨日の夜、震災のため飼い主と離れ施設で保護されている犬たちを題材にしたドキュメンタリー番組、やってましたね。

 

私は途中からしか見ていません。

最初から見たかったな~・・・。

 

たくさんの犬が震災の影響で「施設暮らし」を余儀なくされ・・・

ということは、飼い主さんたちも、涙をのんで施設に預けていらっしゃるんですよね。

 

 

飼い主さんたちにとって大事な大事な家族だった犬たちだったんでしょうけど、

震災で受けた生活へのダメージがあまりに大きく、

施設に保護してもらうよりほかに選択肢がなかった方も多かったんでしょうね…

 

 その施設では、時折贈り物が届くのだそうです。

犬たちに。

飼い主さんから。

 

 首輪だったり・・・

飼い主さんが編んだしきものだったり・・・・

 

首輪をおくられたビーグルは、

飼い主さんからの首輪をつけてもらって、

嬉しそうに、高い高い声でほえていました。

心臓が悪くいつもは静かにくらしているのに・・・・

 

敷物が届いた年老いた白い犬は、

ただ目をとじて、その敷物に体をくっつけていました。

 

きっと、どちらの犬も、

飼い主さんの香りを感じとり、飼い主さんのことを思っていたんだろうなと、

そう思えてなりませんでした。

 

犬って、私達が思うよりずっと豊かな心をもっていて、

ずっといろんなことをわかっているんですよ・・・。

きっと。

 

 

私も何頭か犬を飼ったことがあります。

どの犬もそれぞれにかわいかったんですけど、

一番長いおつきあいをした犬との思い出はやっぱり色あせません。

私が5年生のころから我が家でくらしはじめ、15歳で亡くなりました。

 

 

 

クロという名前でした。

名前の通り、真っ黒()

でも、足の先としっぽの先、それから首に三日月のマーク、

それだけは白い。

耳はちょこっと垂れていて、

走るとぴょこぴょことゆれたものです。

 

私がしゃがんで背中を向けると、ひょいと背中におぶさってきたり~・・・

 

時間がわかっているのではと思うほど、

朝の散歩に行くのが遅くなるとわんわん吠えだし、

それでも来ないと食器をくわえて顔をふり、ぽいぽいと投げ飛ばしたり~・・・

  

アルミの食器だからカランカランとうるさいんですよね (^^ゞ

抗議するわけですよ、私に。

「おそいぞ~~~!!」って。

 

さらにさらに、遅くなった私が

2階から下りてくるのを横目に(ほんとに横目で!!)眺めつつ、

おしっこを・・・・

 

絶対確信犯ですから()  それ・・・。

 

そうかと思えば、

私を「いたわって」くれたりもしました。

中2の夏、右腕を骨折し、秋の新人戦に間に合わないかも、と、

落ち込みつつそれでも片腕ギプスで散歩に出かけた時のこと。

いつもは、自分の力で首が閉まってしまうくらい、

引き綱をひっぱるようにして歩くクロなのに、

ふと気がつけば、私のよこっちょを、ぽとぽと並ぶように歩いていて・・・。

 

その日だけだったんですけどね (^^ゞ

 

でも、きっと、クロはなにかしら感じていたんだと思いますよ。

 

 

 

雑種でしたが賢い犬で、

 動物と過ごすことの魅力と醍醐味をたくさん感じさせてくれた犬でした。

愛情をかけただけ、

犬はまっすぐ私たちにそれを返してくるのだと思ったものです。

  

だからこそ、今でも思い出すと、

懺悔の気持ちと切なさで胸の奥がきゅっとするようなできごとがあります。

 

大学に受かった年の春。

私が家を出ていく、朝のこと・・・

 

一人暮らしになればクロを連れていけないことは分かっていたはずですが、

その頃、クロのことを・・・

いや、クロを置いていくことを、

当時の私がどう思っていたのか、思いだすことができません。

憧れの一人暮らしと合格の喜びで、

私はちょっとだけクロのことを忘れていたんですね。

 

でも、きっとクロは違ったんですよ・・・。私とは。

 

 

その日、私は両親と大学がある街に向かうことになっていました。

荷物を車に詰め込んで、さあ、出発という時、

クロにばいばいを言いにいきました。

 

クロは、中庭にちょこりと座ってこちらを見ていました。

この子を置いていく寂しさがようやく現実的に迫ってきて・・・

 

寂しさに涙がこみあげてきましたが、

でも、家の前で車に乗って待っている家族にそんな自分を悟られまいと、

やっとのことで涙をこらて・・・

いつものように、

クロの小さな頭を両手で包んでぶるぶるぶるぶる左右にゆさぶってやりました。

いつものように。

  

いつものようにクロに「またね」を言い・・・

 

後ろ髪を引かれる思いで、

でも、行かないとと、立ちあがって歩きだしたときでした。

 

突然、背後で叫ぶようなクロの鳴き声がしたんです。

 

振り返ると、そこには、私の方に向かって跳びつこうとし、

でも、鎖に引き戻されて、

たたきつけられるように地面に落ちるクロの姿がありました。

 

クロはそれでもすぐに跳ね起き、激しく吠えながら、

また、こちらに向かって跳びついてくるんです。

何度も何度も・・・。

 

 

いつもと変わらぬ朝だったのに。

 

私がここから出ていくことを、

クロは悟っていたんですね、きっと。

 

新生活への希望にうかれ、

クロのことをちょっとだけ忘れてしまっていた自分と、

それを見抜いていたのかもと思うようなそんないじらしいクロの姿。

 

ただただ涙が止まりませんでした。

 

犬は、言葉こそ話しませんけど、

豊かな感情をもち、

いろいろな表情を見せ、

そして、全身で「あなたを信頼しています」と伝えてきます。

 

犬は、人間が思うよりずっとかしこく、情が深い。

そう思います。